労働審判情報サイト「労働審判の基本」の労働審判の注意点

思い通りに行くとは限らない審判

労働審判はあくまでも第三者である「労働審判委員会」が客観的視点から各事案における解決策(調停案)を提案し、迅速で現実的な紛争解決を目指すものです。労働者側に有利に働くことが多い(個人の状況や意思を尊重する)風潮となっていますが、必ずしも労働者側に有利な審判がなされるわけではありません。
あくまでも使用者と労働者双方が納得し、調停という形で終結することを前提としているので、労働審判では請求金額が満額もらえることは非常に稀です。

また、あくまでも労働者個人が起こす審判なので、団体ではこの労働審判の申し立てができません。同じ事案の審判であっても、個々人で調停もしくは審判内容が異なることも考えられます。
さらに、労働審判は民事訴訟と違って、解決後であってもその内容を公表することができません。この内容の非公開は「調停条件」に加えられているため、これが遵守できない場合は審判が白紙に戻ったり、訴えられることも考えられます。そのため、労働者は審判の結果や審判委員会の様子などを周囲に話すことができません。
こうしたこともあって労働審判自体が広く知られていないという面もあります。

早めの準備・計画が大切

労働審判は民事訴訟などに比べると非常に迅速に労働紛争を解決する手立てになりますが、それでも一定の時間はかかります。うまくことが運べば(1度の審判などで調停ができれば)10日程度で済むことがありますが、これは非常に稀なケースで、平均でも2〜2か月半はかかってしまいます。
会社への要求書の提出、内容証明書の発送、必要書類の用意、労働基準監督署への相談など、労働審判の申し立てには準備が必要で、この準備に意外と時間がかかってしまうのです。

特に解雇された場合などは深刻な場合が多く、労働審判とその準備期間をどうやって生活するのか、という問題にぶち当たってしまうことがあります。
審判の結果、請求した賠償金などが勝ち取れたとしてもそれが入ってくるのは調停または審判後のことで、すぐにそのお金が手に入るわけではありません。
自主退職(自己都合による退職)の場合は失業保険もすぐに入ってきません。経済的に苦しくなると審判を取り下げなければならないこともあるので、労働審判の申し立てをする際にはきちんと計画を立て、早めに準備をすることが大切です。